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2010.07.12

書いている

 資料(や、いらない物)で膨れ上がった部屋を整理している。古い雑誌がなんとも貴重な場所をふさいでいる。当時は役に立ったが、ここ何年も読み返すことのなかった雑誌だ。思い切って処分することにした。とはいえ、中には重要な情報も。必要なところは控えておくことにする。

 コピーして紙で保存するのでは、場所ふさぎに変わりない。スキャナーの登場だ。スキャンしてPCやHDに保存しておけば、なんとスペースの空くことか。

 というわけで古い雑誌を見直しているのだが、2004年の「日本語ジャーナル」という日本語学習者向けの雑誌に、「日本語能力試験」1級用の読解問題があった。ある問いの選択肢に「値段に105円と書いていなかったこと」とあり、これに疑問を覚えた。

 というのは、最近耳にする「誤用」に「ここに~と書いていますよ」というのがあるからだ。「みんなの日本語」を例にとれば、目の前の描写を、29課、30課で勉強する。29課で「窓が閉まっています」、30課で「交番に町の地図がはってあります」を勉強するわけだ。つまり自動詞の場合は「て形+います」(29課)、他動詞の場合は「て形+あります」(30課)になるはず。「書く」という他動詞の場合は「ここに~と書いてありますよ」が正しい。「ここに~と書いていますよ」というのはおかしい。「書いています」というのは、英語でいうbe ~ing、つまり現在進行形の動作を表わしてしまうからだ。

 ところが、この否定形となるとちょっと複雑だ。「ここにはと書いてある。×とは書いて・・・」さて、なんと続けましょうか。「書いてある」の否定は「書いてない」(初級学習者向けの文法では「あります」のない形は「ない」となる)、「書いてあらない」はもちろん、「書いてあらず」を使う人はいないだろう。ここは「書いてない」で正解だろう。

 問題は、「壊れてる」→「壊れている」、「知ってる」→「知っている」(注)の過剰般化で、「書いてない」→「書いていない」の誤用が現われてしまうことだ。この問題を作った人もその罠にはまってしまったようだ。「値段に105円と書いていなかったこと」よく読めば、居心地の悪さを感じただろうに。「値段に105円と書いてなかったこと」、あるいは「値段に105円と書かれていなかったこと」としておけばよかったのに。

 1級の学習者ともなると、この文の間違いに気がつく人もいるかもしれない。よく気がついたね、よく勉強していたからだね、とあわてずにいられるように、こちらも準備を怠らないようにしなければならない。が、これはすでに誤用ではなくなっているのかもしれない。

(注)「知る」は他動詞なので30課のルールを当てはめれば「知ってある」になるところだが、「知っている」は「目前の現象」ではなく、「状態」をあらわすもので15課で扱う構文だ。

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