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2006.10.24

お礼

先週の水曜日、サーミーと出かけていて、夜9時過ぎに家に戻った。家の前に中学生の女の子が不安そうに立っていた。うちに用があるのではないのは明らかだった。「こんばんは」と声をかけたら、きちんと「こんばんは」と返事をしたから、ちょっと安心した。荷物を家に入れているうちにその女の子はいなくなってしまったけれど、その子のいた場所にはキティちゃんの紙皿が置いてあった。

「ヤバイ」と思った。以前にはよくあったことだが、ここに捨て猫をする人が多いのだ。うちで猫を飼っていることを知ってか、よく捨てていかれて困ったものだ。最近はそういうこともなかったが、あの紙皿はきっと猫のエサだったんだろう。

夜も更けた頃、猫の鳴き声がした。サーミーも聞いたという。どうしよう。とりあえずは放っておくことにした。

翌日、紙皿はその前の晩の風のせいか裏返しになっていたけど、どうしても触る気にはなれなかった。猫の姿はどこにも見えなかった。昼ごろ、サーミーが猫の声を聞いたという。午後にはその姿を見たといって、報告に来た。いったん見てしまったら、どうなるかはよくわかっているので、私は努めて見ないことにした。

サーミーは、うちのタタによく似た猫を見たと言った。しかし、その次に見たときは、以前いたモモによく似た猫だったので、2匹いるのではと、2人で頭を抱えそうになった。

そのうちに、私も猫の姿を目撃することになった。お日様も出て気持ちのよい昼間、枯れ草の上で丸くなっている猫を見つけた。窓の下にいて窓を開けても動かないその様子にちょっと心配だったけど、気持ちよく寝ているだけだった。この猫はサーミーがはじめに見たタタ似の猫で、よく見るとシルバータビー風の可愛い猫のようだ。しかし、人には慣れておらず、近くに行くと脱兎のごとく逃げ出す。とてもさわれそうにない。果たしてこんなに人慣れない猫を、あの中学生の子が連れてきたのか、ちょっと疑問だ。

その猫が寝ているあたりへ、キャット・フードときれいな水を置いて上げることにした。家の中へ入れることはできないけど、お腹をすかしているのを見るのは忍びない。一日に一食だけ提供してあげよう。

昨夜は大雨で、こんな大雨の中どこにいるのだろうと心配した。餌場もそれまでの場所では水浸しになるので、濡れないところに変えた。夜、寝る前にそっと餌場をのぞいてみたけど、餌には手がつけられていなかった。

今朝のことだ。サーミーが新聞を取りに玄関を開けると、玄関の前に足を伸ばした状態で蛙が横たわっていたという。よく見ると息はしておらず、どうも首の辺りにかまれたような跡が。蛙が自力でここまで来て息絶えたと考えるのは、不自然だ。あまり大きくない蛙だから、誰かがあるいは何かがここまで持ってきたと考えるのが自然なようだ。その足で、サーミーは餌場をのぞいたらしい。餌はすっかりなくなっていたそうだ。

それで、私たちはこう考えた。あの蛙は、きっと例の猫からの「お礼」なのだろう。何回かキャット・フードをもらったので、お返しに新鮮な蛙を持ってきてくれたのに違いない。というのは、以前にもそんなことがあったからだ。この家の前、アパートに住んでいた時、3匹の猫を飼っていた。当時は放し飼いにしていて、家の中も外も出入り自由だった。母猫のコロちゃんは狩りが上手な猫で、いろんなものを獲っては家まで持ってきた。彼らにはご馳走なんだろうが私たちは遠慮したいものばかりで、気持ちだけありがたく戴いていた。それは、ネズミだったり、モグラだったり、蛇だったり、名前はわからないけれどとてもきれいな青い鳥だったりした。蛙もあった。

今朝の蛙には悪いことをしたけど、外にいる猫の気持ちが嬉しくて、今日はちょっと嬉しかった。昨夜の大雨を心配していたけれど、大丈夫だったようなので、こちらもほっとした。あんなに小さいのに、一生懸命生きてるのだと思うとちょっとかわいそうにもなるけど、縛り付けられるより、自由な生活の方がきっと好みなんだろうと思った。

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